家賃を3000円下げると成約数がどのくらい増えるか考察してみた。

物件運営

今回は、適正家賃の設定について、考察していきます。

オーナーにとって、家賃設定は永遠のテーマです。

家賃設定を相場より高くすると、長期間、空室になるかも知れません。一方、相場より安くして、早期に賃貸付けが出来たとしても、長期で見た場合に家賃総額が低くなってしまいます。

家賃総額の低さは、不動産売却時に影響します。物件を購入する側(買い手)から見ると、年間家賃総額を売却価格で割った利回りは、購入判断における重要な指標の一つです。

買い手が求める期待利回りにするには、売却価格を値下げする必要があります。値下げしない場合、長期で売却できないかも知れません。

なので、家賃を低く設定すると言う事は、インカムゲイン(年間家賃収入)の面でも、キャピタルゲイン(売却益)の面でもマイナスの影響を受けます。

家賃設定と成約数の相関性を分析するのは難しい

家賃を相場より安く設定する事で、早く(多く)成約できそうな事は、理解できます。ただ経験上、同じ時期で空室が発生するのは、部屋数全体の20%(2部屋/10部屋中)程度です。その為、仮にすぐ2部屋成約したとしても、家賃設定が本当に妥当だったかは分かりません。時期によって引越(成約)件数が多い時期もあれば閑散時期もあります。

唯一分かる方法は、「家賃設定した全部屋が1年間、全く成約しなかった場合、その家賃設定は高いと思われる」と言う事です。

上記は、殆どローンで不動産を購入しているオーナーにとって、取りづらい戦略です。なぜなら毎月のローン返済がある為です。

満室に近い状況に無いと、ローン返済原資である家賃を稼ぐ事ができません。

なので、実際は適性家賃より安く設定した家賃設定により成約が決まっているケースも多々存在するでしょう。ただ冒頭に記載した通り、出来るだけ高い家賃で、できれば早めに満室にしたい所です。

家賃設定と成約数の相関性を分析するのは、多くの空室と空室期間が必要である

今回は全国の不動産オーナーを代表しまして(笑)、過去1年間に渡り、「適性家賃」と「適性家賃以下」の家賃設定でどれだけの成約数に違いがあったかについて検証してみます。

なぜ検証できたかと言うと、保有する2物件が、1つは購入時点で空室率が50%(10部屋)で、もう1つはサブリース会社が倒産して空室率70%(9部屋)だったので、1年間で満室にできるかどうか分からないレベルの空室が十分にあったからです。

適正家賃と設定家賃の乖離における成約数について

では実際に、保有する2物件(前回も投稿した中央区物件と手稲区物件)を用いて検証していきます。

生活保護者を除く、一般人の年間成約件数

適性家賃と設定家賃とその乖離額、ならびに年間成約数の結果を表にしました。

項目\物件中央区物件手稲区物件
適性家賃33,934円32,139円
設定家賃34,000円29,000円
適性家賃と設定家賃の乖離66円割高3,139円割安
年間成約件数(一般人)2件4件

これらの実績を見て考えられる仮説は、同類の物件スペックだと、

「適性家賃と(ほぼ)同じ家賃設定で入居するのは、年間2件」

「適性家賃より約1,500円安くなる毎に1件成約が増える(150%増加)」

と言う事です。

年間成約数と家賃設定の法則性

上記仮説を参考に、表にしてみます。

設定家賃(適性家賃に対し+-〇%)年間成約予定件数
3,000円割高(適性家賃に対し+9.3%)0件
1,500円割高(適性家賃に対し+4.8%)1件
適性家賃と同額2件
1,500円割安(適性家賃に対し-4.8%)3件
3,000円割安(適性家賃に対し-9.3%)4件
4,500円割安(適性家賃に対し-14.1%)5件

2物件の年間成約数から算出した数値なので、信憑性は高くありません。ただ比較的同条件の物件だと当てはめる事が可能だと思います。何より、無計画ではなく(信憑性が低くても)仮説を立てて実行し、検証し続ける事が大切だと考えます。

まとめ

適性家賃でも成約するのは年間2件(部屋)という数値は思ってたより少なかった。。。

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