将来、空室率がどのくらい上昇するか予測してみた!③(築年数、構造、最寄駅からの距離が空室率に与える影響)

物件運営

前回前々回に引き続き、ミクロに空室率について考察していきます。

今回は、築年数・構造・最寄駅からの距離毎によりどれだけ空室率が違ってくるのか?について調べてみました。一般的に、賃貸住宅に比べ、戸建ての方が木造構造が多く、且駅から遠い事は明らかなので、今回は賃貸用住宅に絞って調べてみます。

 

1、築年数毎の空室率

総務省調べ2013年賃貸用住宅の空室率は18.8%でした。

より詳細に築年数毎の空室率を調べていくと、下記資料の通り、築23年以上の物件の空室率が18.8%の内、67%を占めている事が分かります。ここでは、築23年以上を築古、未満を築浅と言うようにします。

引用:株式会社価値総合研究所 P7「賃貸住宅の市場動向④~直近で入居者のあった賃貸住宅の建築時期~」

 

まぁそんな所かなと言う印象です。

私が保有する3つの物件も、築23年以上の物件です。

次に、上述で算出した築古係数(空室率全体の67%)を用いて、前回投稿で算出した、委託管理空室率と掛けて、実際の空室率を推測してみます。

(1)委託管理空室率=7.2%

(2)7.2%の中身は、築浅が33%を占め、築古が②67%を占めていると想定。

(3)築古の委託管理空室率は、③4.8%(築浅は2.5%)

計算式:(1)7.2% × ②67% = ③4.8%

 

一般的に、空室と言うと、「築古物件」のイメージを持たれるかと思いますが、違う見方をすると、

空室全体の中で、築浅でも3割を占める

とも言えます。この数値は人により捉え方が異なると考えています。「空室全体で築浅でも3割の空き家を占めるので、築古だともっとやばいのでは?」と考える方もいるでしょうし、「結局築浅でも一定数(3割)、空室はあるので、重要なのは、築年数ではなく、立地や家賃と言った部分である」と考える方もいるでしょう。

勿論、私は後者のポジションとして色々と考察しています。

 

2033年の賃貸用住宅、築浅空室率は、5.6%、築古空室率は、11%と予測。

前回算出したマクロでの平均空室率予測より、低い予測数値が出ました。築浅では空室率が低く、築古でも十分稼働する数値なのではないでしょうか?

計算式:

築浅空室率:2.5% × 225%(想定上昇率) = 5.6%

築古空室率:4.8% × 225%(想定上昇率) = 11%

※それぞれ四捨五入している為、足しても短観全体予測数値の16.2%にはなっていません。

 

2、構造毎の空室率

次に、構造毎に空室率の違いがあるか?について調べてみました。結果、下記の数値になりました。

項目総 数木造(防火木造を除く)防火木造鉄筋・鉄骨
コンクリート造
鉄骨造その他その他(不明)
有人「賃貸住宅」数18,518,9001,865,9002,844,60010,917,1002,810,40080,900 
空き家「賃貸住宅」数4,291,800626,800702,6002,229,400710,60017,4005,000
「賃貸住宅」数22,810,7002,492,7003,547,20013,146,5003,521,00098,3005,000
空き家率18.8%25.1%19.8%17.0%20.2%17.7% 

引用:平成25年 住宅・土地統計調査

各構造の定義は下記の通りです。(住宅土地統計調査より引用)

木造(防火木造を除く):
建物の主な構造部分のうち,柱・はりなどの骨組みが木造のもの。ただし,「防火木造」に該当するものは含めない。

防火木造:
柱・はりなどの骨組みが木造で,屋根や外壁など延焼のおそれのある部分がモルタル,サイディングボード,トタンなどの防火性能を有する材料でできているもの

鉄筋・鉄骨コンクリート造:
建物の骨組みが鉄筋コンクリート造,鉄骨コンクリート造又は鉄筋・鉄骨コンクリート造のもの

鉄骨造:
建物の骨組みが鉄骨造(柱・はりが鉄骨のもの)のもの

その他:
上記以外のもので,例えば,ブロック造,レンガ造などのもの

構造「その他」はブロック造等、かなり稀有な為、おいておく事にします。

代表的な構造で見ると、やはり人気のRC(鉄筋鉄骨造)と言った所でしょうか。他の木造や鉄骨造と比べて、約3%~8%空室率が低い結果となっています。仮に「木造がRCと比べて5%空室率が高い」と想定した場合、表面利回り10%の木造と9.5%のRCの稼働率(実質利益)は同じになります。

将来において、空室率が上がっていく事は、買い手市場になる事を意味します。現状は、予算との相談でやむなく木造アパートを選択する賃借人も多いが、将来空室率増加に伴い、鉄筋マンションの家賃が下がれば、賃借人が流れてくる可能性はあります。(残念ながら、推測であり、それを示す根拠はないので、正しい予測が出来ません。。)

 

3、最寄り駅からの距離毎の空室率

最後に、最寄駅からの距離によって空室率が変化するかについて調べてみます。

項目総数最寄りの交通機関までの距離
200m未満200~500m500~1,000m1,000~2,000m 2,000m以上
有人「賃貸住宅」数18,518,9001,456,0003,454,3004,782,3004,430,6004,395,800
空き家「賃貸住宅」数4,291,800334,700756,9001,086,5001,045,0001,068,700
「賃貸住宅」数22,810,7001,790,7004,211,2005,868,8005,475,6005,464,500
空き家率18.8%18.7%18.0%18.5%19.1%19.6%

引用:平成25年 住宅・土地統計調査

不動産取引的には、80mで徒歩1分と決められています。最寄駅から800mで駅徒歩10分、1,600mで駅徒歩20分となります。

結論としては、意外にも空室率は「ほぼ変わらない」と言えるのではないでしょうか。

恐らく、受給バランスに基づき、駅から遠い物件は、家賃を安くしている故にお得感があり入居ニーズが増える。結果、空室率は駅近比べても変わらない状況だと推測できます。

一般的に、駅近の高額な土地に比べて、駅から遠い土地はその半額や1/3の値付けもされています。しかしながら、家賃は同じ半額や1/3にはなっていません。なので現時点では、家賃相場が固まってきた20年ぐらいの物件で、駅から遠い物件を利回り高く購入すると言うのも良い戦略と考えます。

意外ですが、将来予測についても現状数値の延長と考えると「ほぼ変わらない」と言う数字になります。個人的には、将来に向け駅近ではないと満室にならないのでは?と思いますが、あくまで固定観念なのかも知れません。皆も同じ事を考えているはずなので、駅近の土地はプレミアがついているとも考えられます。

こちらは一度、駅から遠い物件を購入して仮説検証していきたいと考えています。また、継続的に平成30年度の住宅土地統計調査で追っていく必要はあると思います。

 

まとめ

最寄駅から遠い物件でも空室率は高くない。

 

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