不動産業者から儲かる話(物件情報)が来たら乗っかるべきか?

不動産投資(国内)

昨日の投稿に続き、今回は、不動産投資のケースに焦点を当てていきます。

株やFX投資と比べて、不動産投資の場合、少なくとも数百万~数千万の投資額が必要になります。なので、複数の儲かる話に乗ってみると言う事が難しいです。お金がいくらあっても足りません。なので、より検証した上で投資実行判断をする必要があります。

昨今の不動産投資では、かぼちゃの馬車問題や、レオパレス問題と言った買主(投資家)に取って地獄のようなケースに当たる事もあります。まだ問題にならないまでも、ずっと儲からない都心新築マンションを買わされているケースも散見します。

不動産業者(営業マン)からお薦めの物件(儲かる話)を貰った時、「そんなに儲かるなら自分で買えば良いのに」と思う事もあると思います。

では本当にそうなのか検証していきます。

結論:不動産業者はお薦め物件を自分で買ってもいるし買ってもいない

不動産業者が買ったか否かの統計は見つかりませんでした。なので、推計として、「不動産業者がどれくらい自分の物件を売り出しているか」を調べてみました。その結果で、業者の保有数(買っている数)の目安が分かります。

契約形態件数割合
専属専任媒介235,38212%
専任媒介611,18332%
一般媒介537,64128%
代理22,2681%
売主489,75526%
合計1,896,229100%

参考:公益財団法人不動産流通推進センター 2019不動産業統計集

こちらは、レインズと言って不動産業者だけが使える不動産売買情報データベース内の数値です。黒字である専属専任媒介~代理までは、第三者の売主(個人や法人)がいて、売買のお手伝いとして不動産業者が売買委託契約を受けていると言う形態です。

一方、赤字の売主は、「不動産業者が自ら保有している物件を売主としてレインズに登録している」事を意味します。

繰り返しますが、不動産業者が「自分用に買って保有し続けている物件」を含めるとこの数値より多くなります。

 

次に、業者が自分の物件を売出している数の割合(26%)が多いのか少ないのかを比較すべく、平成30年の業者数と世帯数の割合を算出します。

・世帯数:5,800万世帯
資料:総務省 住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数のポイント

・業者数:12万社
資料:国土交通省「宅地建物取引業法の施行状況調査結果について」

12万社÷5800万世帯=0.2%

つまり、不動産業者が一般世帯と同じく不動産を売っていると仮定するならば、上記表の物件割合は限りなく0.2%に近くなるはずですが、実際は100倍以上の開きがあります。

この数値から明らかに「業者が(すぐ売るか保有するかは別として)、自分で買っている」事の証左だと思います。

 

不動産業者がお薦め物件を自分で買わないケース

では次に、不動産業者が自分で買わない物件のケースを挙げてみます。買わない理由は3点です。

1、儲からないと思っているから
2、短期の収益を重視するから
3、自分では買えないから

1、儲からないと思っているから

一番多い理由はこれだと思います。極端に言うと、不動産業者が買ってすぐ売って利益がでる物件(キャピタルゲイン狙いの物件)であれば間違いなく買っています。

キャピタルゲイン狙いではなく、長期保有のインカムゲイン狙いの投資だとしても、あまり儲からないと思っていないケースも自分では買いません。

営業トークではありますが、日々「都心の不動産を持つべき」と言うポジションで話しをします。その結果、自分達も「都心以外の物件は買わずにそのままお客さんに紹介する」となっている場合もあります。

2、短期の収益を重視するから

都心のマンションの平均年利回りは物件価格の約4~5%ぐらいです。それに対し、一件売買が決まった時の不動産業者の取り分(仲介手数料)は物件価格の3%~6%です。

要は、業者がやっと一年運用して貰える収益と、(一か月等で)売買したとした収益が同じです。であれば、保有するよりも複数売った方が効率良いとなります。

3、自分では買えないから

不動産を買う際に、物件価格の1割や売買手数料(約6%)が発生します。これを投資の種銭と言います。連続で何件も買う場合、それだけの預金(企業体力)が無いと買えません。

銀行から事業性融資を借りる方法もありますが、それでも種銭を求められ複数棟の融資は難しいです。融資ハードルが低いノンバンクから短期で借りる場合も限界はあります。

不動産業者の営業マンが自分名義で買えないのもこのケースがあります。離職率も高いですし、平均年収も平均なので、融資がおりません。

それだけ不動産投資において融資を受ける場合、資産背景や投資(銀行が融資できる)エリアが重要になってきます。

株・FXは借りやすい

一方、株やFXでレバレッジ(融資)を掛けて運用するのは不動産投資に比べて遥かに簡単です。証拠金と言う種銭を積めばいちいち決裁を貰わなくても借りる事ができます。

その種銭も不動産投資より少なくて済みますし、売買する際の手数料も低額です。(1%以下)

 

不動産業者からお薦め物件を紹介されたらどうしたらよい?

結論は、ちゃんと自分で調べて買うか買わないか判断する事です。

私を含めて、一般人レベルの資産背景を持っている人には、上流の本当にお得な物件情報は入ってきません。ヒアリングした経験によると、本当にお得な物件情報は2~3%ぐらいとの事です。

もしあなたの資産および年収が上位3%に入るのであれば、情報貰える可能性があります。いわゆる上級国民と言うやつです。しかしながら、一般人にはまず入りません。

だからと言って、「上流の情報が入って来ないならば投資しない」と考えるのは、短絡的です。一生上流になる事は難しいでしょう。上級国民との貧富の差は更に広がります。

ではどうするか?

上流国民より、リスクを取り、努力(検証)をする事で差を埋めるしかないです。

その為の第一歩として、不動産業者が買わない理由をよく理解する事が大事です。一方で、自分がうまく運営すれば儲かる物件かもと言う仮説を立てて購入する事です。

上述したように、不動産業者の目線だと、短期利益を求めるので、「売り易い物件=良い物件」となります。

一方、私が買ったような、「築古でリノベーションが必要、空室率が50%」といった物件は業者も買わないし、積極的に売らない(紹介しない)ので、ゆっくりと検討と融資の打診期間を取れます。今その物件は、稼働率80%ですが、利回り20%以上あります。普通に楽待に載っていた物件です。

まとめ

不動産業者の背景を理解し、良い物件かどうかは自分で検証することが大事

 

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